過去のエントリー で『記憶の宮殿』"The Memory Palace" について軽く触れました。『記憶の宮殿』についての詳細は以下の動画をご覧ください:
また、こんな記事も参考になります:
自分は記憶力のいい方ですが、正直なところこの『記憶の宮殿』というのはしっくりこないんですよね。自分の記憶は『宮殿』なんて大きなものではないです。
どちらかと言うと小さい『部屋』。歩き回る必要のない、手を伸ばせば何でも届くくらいの小ささ。それもとっちらかった。名付けるならば『記憶のとっちらかった部屋』"The Memory Messy Room" でしょうか。
教科書やらノートやら洋服やらが散乱している小中学生の部屋のイメージです。ただ、 散乱はしているんですが、無秩序に散乱しているわけではありません。散乱している記憶(=情報)に様々な色や形の『タグ』が付いていて、同じ色や形の『タグ』が同じところに積み重なっている感じ。積み重なっているといっても整然と積み重なっているわけではなく、バラバラ。
バラバラといっても『タグ』どうしが見えない糸でつながっていて(= リンクされていて)、その糸をたぐると同じ色と形の『タグ』が付いた記憶(=情報)が数珠つなぎで出てくる感じ。
数珠つなぎといっても積み重ねた順番でつながっているのではなく、関連性の強弱によってつながっている。しかも、必要に応じてつながり方が変化します。
基本的に糸(リンク)は勝手に(無意識に)つながりますが、自分で(意識的に)つなげることもあります。直近の記憶(= 情報)にリンクしておけば、そのリンクされた記憶(= 情報)をたどることができます。
数珠つなぎで引っぱっているときにできるだけ多くの記憶(= 情報)に目を配ります(= 情報を参照します)。こうすることによって記憶(= 情報)が埋もれることがなくなります。もちろん、記憶(= 情報)に付けられる『タグ』は一つに限られません。
『タグ』の種類は様々です。『意味』だったり『音』だったり『形』だったり『におい』だったり『映像(ヴィジュアル)』だったり。またいつか PAM の Memorization のところで述べますが、英単語だったら『同じような意味』『同じような音』『同じような形』『同じような映像(ヴィジュアル)』という『タグ』が有機的に(?)リンクしている感じです。
以前生徒に頼まれて作成した "Word Formation List"(画像参照;全28ページの一部です)というものが『形』と『音』の『タグ』によってリンクした記憶(= 情報)のイメージに近いです(実際は二次元ではなく三次元で入っている感じですが)。
メモアプリでいえば、Google Keep が近いでしょうか。「Evernote などに比べて使いづらい」とおっしゃる方が多いようですが、自分のフィーリングに合うのは Google Keep です。『ラベル』(=『タグ』)を付けて、色を付けて、どんどん入力していく(音声メモや画像も入れることができます)。
自分はさらに複数の Google アカウントで Google Keep を使い分け(英語関連に使うアカウント、ネタ関連に使うアカウントなど)、必要があるときはアカウントをまたいでシェア(共有)します。必要な情報は『ラベル』(=『タグ』)をたどるか、キーワードを入力して検索します。
自分の記憶はあまり参照しないとリンクが弱くなって『忘れてしまう』(= 呼び出せなくなる)のですが、Google Keep はリンクが弱くなることはないので外部記憶装置としてとても役立っています。
『記憶のとっちらかった部屋』を実践してみたい人は Google Keep で試してみるといいと思います。
これまでこのブログを読んできた方は 『記憶のとっちらかった部屋』"The Memory Messy Room" の肝になるのが過去のエントリーで何度も述べてきた『分析力(≓ 情報比較検討力)』だということにすでにお気づきでしょう。よく観察し、情報を比較検討することによって記憶することがラクになるんです。不規則動詞にも規則が! 不規則動詞はラクしておぼえよう! というエントリーで述べた通りです。この PAM の Analysis(分析)と Memorization(記憶)のクロスオーバーについてはまたエントリーを改めて述べたいと思います。
一概には言えませんが、おぼえるのが苦手な人は『記憶の銀行の貸金庫』"The Memory Safe Deposit Box" のようになっているのではないでしょうか。一つひとつの記憶(= 情報)を鍵付きの金庫に入れて、たくさんある他の金庫とリンクすることがないイメージです。これだと記憶(= 情報)を取り出すのが難しく(遅く)なります。
記憶(= 情報)はちょっと自由(無秩序ではない)にしておいた方が何かと都合がいいと思います。