英語は『音に乗っている情報の流れ』をつかめ!② スラッシュリスニング → スラッシュリーディング Part 2

f:id:debunekoponta:20190520083002p:plain

まず、前回の質問の答え合わせです:

【問】A と B の文の話し手はそれぞれ何が重要だと思ってしゃべっていると思いますか?

A. 私は昨日メアリーと京都へ行きました。→【答】『京都へ』行ったこと

B. 私は昨日京都へメアリーと行きました。→【答】『メアリーと』行ったこと

いかがでしたでしょうか。正直自分は日本語力に自信がないのですが、日本語では重要な情報は述語動詞の前に置きます。

 

さて、"Thought Group" の最後の ズン を含む単語を "Focus Word" と言います。かなり英語を勉強している人(そんな人はこのブログを読んでいないかもしれませんが…)はこの "Focus Word" という言葉を見てピンときたハズです。"Focus" は『焦点』と訳します。はい、いわゆる『文末焦点』ってヤツですね。このへんの話もおもしろいのですが、また後で触れることにします。

"Thought Group" の最後の ズン、すなわち "Focus Word" を発した後は 一旦停止(ポーズ)します。なぜかって? 話し手にとって重要な情報を聞き手にしっかり理解してもらいたいからです。聞き手に考える時間をちょっとだけ与えているんですね。言いたいことがあるのに理解してもらえなかったら悲しいですからね。実際にはどうなっているのか、2018年度第3回 英検4級 リスニング問題 第3部(No.21)に再々々登場してもらいます:

f:id:debunekoponta:20190508181044p:plain

再び音声を聞きながらご覧ください。"shirt" の後は カンマ、book の後は ピリオドになっているので、「一旦停止(ポーズ)しろ」と言われなくても一旦停止(ポーズ)しています。注目(耳?)すべきは "money" の後です。カンマ も ピリオド もないのに一旦停止(ポーズ)していますよね?

スラッシュリーディング』という言葉を聞いたことがあるかと思います。「長文読解はスラッシュ( / )を引きながら読むと読みやすいよ! だからみんなスラッシュを引こうよ!」っていうアレです。

「スラッシュを引こうよ!」と言っている先生に「それじゃいつどこでスラッシュを引けばいいんですか?」と質問したことはありますでしょうか。いちばんひどい返答は「どこでもいいよ!」でしょうか。さすがにいないですかね。「なんとなく意味が切れるところでいいよ!」がもっとも多い答えでしょうか。もっと具体的に「5~6 語で意味が切れるところでいいよ!」と答えてくれる先生もいると思います。

ある有名な英語ネイティヴの先生の本には「なぜそこにスラッシュを引くかって? 英語ネイティヴならそこに引くからさ!」と書いてありました(ここまで直截的な表現ではなかったとは思いますが)。

もうなんとなくわかっていると思うのですが、自分としては『スラッシュは "Thought Group" の後に引く(= 一旦停止するところにスラッシュを引く)』のが正しいと考えています。

 

話し手:ベッキーの両親は何をあげたと思う? お金だって!

    ~ 一旦停止(ポーズ)開始 ~

聞き手:へぇ、お金なんだ? ベッキーはそれを何に使ったんだろう?

    ~ 一旦停止(ポーズ)終了 ~

話し手:何に使ったんだと思う? カメラを買うために使ったんだよ!

 

スラッシュ(一旦停止〔 ポーズ〕)はこのように読み手(聞き手)に考える時間を与えているイメージです。読むときが『スラッシュリーディング』なら、聞くときは『スラッシュリスニング』でしょうか。この『話し手(書き手)と 聞き手(読み手)の やりとり(対話)』については後で詳しく説明します。

スラッシュを加えた 5×3 DOT PROSODY SHEET は次のようになります(カンマ や ピリオド は一旦停止〔ポーズ〕して当たり前なので、カンマ と ピリオド の後には引いていません):

f:id:debunekoponta:20190508180812p:plain

ところで、"Thought Group" は 平均で 5語 だそうです(出典は忘れてしまいましたが Quirk et al.〔1985〕だったような気がします)。『あまり長いと息がもたないから』という現実的な理由が一つでしょうか(声に出すのではなく文字を書くときでも 平均で 5語 になるそうです。心理的にそうなってしまうのでしょうか)。また PAM の Memorization のところでも述べますが、もう一つの理由として考えられるのは、『ワーキングメモリ(≓ 短期記憶)に保存できる情報が  4±1 だから』でしょうか("Magical Number 4 ± 1"〔Nelson Cowan〕)。 

f:id:debunekoponta:20190520210550p:plain

f:id:debunekoponta:20190520210535p:plain

f:id:debunekoponta:20190521225318p:plain