『ただひたすらに真似をする』時期が終わると、今度は読み書きができるようになりたくなりました。
『英語のつづりは音を文字化したものだ』というヒントをくれた(気づかせてくれた)のがスペリング(spelling)の授業です。アメリカの小学校にはスペリング(つづり)の授業というのがあり、毎回『"cabbage" "baggage" "luggage" について学ぼう』といったテーマがあり、それを詳しく勉強していく、という形をとります。
スペリングの授業だけでは足りなかったので、自分でやることにしました。理科や社会の授業は何をやっているのか相変わらずわかりませんでしたが、先生の言っていることと教科書に書いてあるものを必死に観察・分析(情報の比較検討)しました。同じような発音をするものにどういうものがあって、どういうふうにつづるのか、というルールを導きだそうとひたすら考えました。
ここでも助けてくれたのが Jennifer です。こちらが分析結果をもとに教科書の中の単語を読んでそれが正しいかチェックしてもらったり、彼女の言う言葉を書いたりしました(いわゆる『ディクテーション』です)。過去のエントリーでも書きましたが、彼女はつづりの間違いにも『良いもの』と『悪いもの』があると教えてくれ、良い間違いのときは褒めてくれましたが、悪い間違いをしたときはキレました。
"live" を "liv"、"some" を "sum"、"brother" を "bruther"、"many" を "meny"、"friend" を "frend"、"bread" を "bred"、"laugh" を "laf"、"great" を "grate" と書いても Jennifer はキレずに自分を褒めてくれました。あとで知ったのですが、これらは "Sight Words" と言ってアメリカ人は小さいころに『見ただけ(sight)で読めなければいけない単語』として、カードを使ったりしながらおぼえるそうです。"Sight Words" でググっていただければわかりますが、ルール通りでないものばかりです。前にも書きましたが、英語ネイティヴの小さい子でもよく使うような基本的な単語がルール通りでないのが英語のつづりの嫌なところです。
それに対し、"much" を "mach" と書いたり、 "image" を日本語発音で『イメージ』と発音したりしたらキレられました。Jennifer 曰く「ルール通りなんだから間違えてはいけない」と。これまでのエントリーを理解された方は Jennifer がキレる理由はおわかりかと思います。[ ʌ ] の音を a を使って書くのはおかしい、アクセント(強勢)がないのに "magic e" と同じに発音するのはおかしい、ということです。
ここまでのつづりと発音に関するエントリーはほとんどがこのときの経験から得られたものに基づいています。自分は大量に英語に触れる機会や Jennifer のような人物に会う機会に恵まれてラッキーでしたが、そうでない人たちはこれまでのエントリーでしっかりルールを学んでいただくのがつづりと発音をよくする近道になると思います。